オフィスの新設・移転
とオフィス内各種構築

オフィスの新設や移転は、単に机や椅子を配置するだけではなく、業務を円滑に進めるための通信設備、電源、セキュリティ、電話、ネットワークなどを総合的に整備するプロジェクトです。

計画段階から各設備の設計・施工・設定・動作確認まで一貫して進めることで、開業日や移転日に業務を滞りなく開始できる環境を整えます。

オフィス新設・移転で必要となる主な作業

オフィスの新設・移転では、次のような設備を総合的に構築します。

  • LAN・無線LANなどのネットワーク
  • インターネット接続環境
  • 電話・ビジネスフォン・内線設備
  • サーバーや通信機器の設置
  • パソコンやプリンターなどの端末環境
  • 電源・コンセント・電源容量の整備
  • 防犯カメラや入退室管理システム
  • 会議室の映像・音響設備
  • 複合機や受付端末の設置
  • 配線整理と機器ラックの設置
  • データ移行や機器の搬入・撤去
  • 運用マニュアルの作成

これらを個別に進めるのではなく、オフィスのレイアウトや業務内容に合わせて計画することが重要です。

事前計画と要件整理

新設・移転の最初の段階では、現在の運用状況と新しいオフィスで必要となる機能を整理します。

従業員数、座席数、部署配置、会議室数、電話機台数、パソコンやプリンターの台数などを確認します。

また、将来的な増員や部署の追加も考慮し、必要な通信ポートや電源容量を余裕を持って設計します。

移転後に機器を追加するたびに配線工事が必要になると、時間や費用が増えるため、将来計画を含めた設計が大切です。

オフィスレイアウトと設備設計

オフィス内のレイアウトは、ネットワーク配線、電源、電話、無線LAN、防犯カメラなどの設置位置に大きく影響します。

デスクの配置、会議室、受付、サーバーや通信機器の設置場所を確認したうえで、各設備の位置を決定します。

特に、次の点に注意が必要です。

  • デスクごとの電源とLANポート
  • 会議室の映像・音響設備
  • 無線LANアクセスポイントの配置
  • サーバーラックや通信ラックの設置場所
  • 機器の排熱と保守スペース
  • 電源タップやケーブルの安全な取り回し
  • 来客エリアと執務エリアの分離
  • 防犯カメラや入退室管理機器の視認範囲

設備を後から追加すると、配線が露出したり、レイアウト変更が難しくなったりするため、内装工事や家具配置と並行して計画します。

ネットワーク構築

オフィスのネットワークは、業務システム、インターネット、クラウドサービス、プリンター、IP電話などを支える基盤です。

安定した通信を実現するため、利用人数や通信量に応じてルーター、ファイアウォール、スイッチ、無線LANアクセスポイントなどを選定します。

有線LANでは、デスクや機器の位置に合わせてLAN配線を敷設します。

無線LANでは、オフィスの広さ、壁や柱などの障害物、利用者数、電波干渉を確認し、適切な場所にアクセスポイントを設置します。

また、社内ネットワーク、来客用Wi-Fi、サーバー、電話機器などを分離することで、通信の整理とセキュリティ強化を図れます。

電話・ビジネスフォンの構築

電話設備は、代表番号、内線、保留、転送、留守番電話、通話録音など、業務に必要な機能を提供します。移転時には、既存番号を継続して使用できるか、回線の開通日や切り替え時間、電話機の台数などを事前に確認します。

IP電話を導入する場合は、ネットワークの通信品質が通話品質に影響します。そのため、音声通信用のネットワークを分離したり、音声通信を優先する設定を行ったりすることがあります。

移転当日に電話が使えない事態を防ぐため、事前に発着信、内線、保留、転送、代表着信などをテストしておくことが重要です。

サーバー・通信機器の設置

サーバーやネットワーク機器は、専用のラックや機器スペースに集約して設置します。

設置場所は、温度、湿度、ほこり、振動、電源、入室制限などを考慮して決定します。

主な確認項目は次のとおりです。

  • ラックの設置スペース
  • 電源容量と電源系統
  • 無停電電源装置の有無
  • 空調と排熱
  • 機器の重量
  • 配線経路
  • 保守作業のスペース
  • 入退室制限
  • 火災や水漏れへの対策

サーバーを社内に設置する場合だけでなく、クラウドサービスやデータセンターを利用する場合も、ネットワーク接続やバックアップ方法を事前に設計します。

電源・電気設備の整備

オフィスでは、パソコン、モニター、複合機、電話機、サーバー、照明、会議室設備など、多くの機器が電力を使用します。必要な電源容量を確認し、機器の集中によるブレーカー遮断や電源障害を防ぎます。

また、一般の電源系統とサーバーや通信機器用の電源系統を分けることで、障害の影響を抑えられる場合があります。ケーブルが通路に露出しないように配線し、つまずきや断線のリスクを減らすことも大切です。

セキュリティ設備

オフィスの安全を確保するため、防犯カメラ、入退室管理、カードリーダー、電子錠、来訪者管理システムなどを設置します。

セキュリティ設備の計画では、次の点を確認します。

  • 入口や受付の監視範囲
  • 執務エリアへの入室制限
  • サーバー・機器室の管理
  • カメラ映像の保存期間
  • 従業員と来訪者の識別方法
  • 退職者や異動者の権限変更
  • 停電やネットワーク障害時の動作

ネットワークに接続するカメラや入退室管理機器は、社内業務ネットワークと分離することで、セキュリティリスクを抑えられます。

会議室・Web会議環境の構築

現在のオフィスでは、対面会議だけでなく、オンライン会議や拠点間会議に対応した設備が求められています。大型ディスプレイ、カメラ、マイク、スピーカー、接続端子、無線投影機器などを会議室に設置します。

会議室の広さや参加人数に応じて、マイクの集音範囲やスピーカーの音量を調整します。

カメラの画角、照明、背景、ケーブルの接続方法も確認し、利用者が簡単に会議を開始できる環境を整えます。

複合機・プリンター・周辺機器の設置

複合機やプリンターは、設置場所、電源、ネットワーク、用紙の搬入経路、利用者の動線を考慮して配置します。

部署ごとに利用制限を設ける場合は、認証機能や印刷管理機能を導入することもあります。

移転時には、ドライバー設定、スキャン先、アドレス帳、認証情報などの移行も必要になる場合があります。

移転後に印刷やスキャンができるよう、各端末で事前確認を行います。

移転作業とデータ管理

オフィス移転では、機器の搬出、梱包、輸送、搬入、再設置、接続、設定確認を行います。サーバーや通信機器など、停止時間が業務に影響する機器については、作業時間と復旧手順を明確にします。

重要なデータや設定情報については、移転前にバックアップを取得します。

機器を移動する前に、配線や接続先を記録し、ラベルを付けておくと、移転後の再接続をスムーズに進められます。

開業・移転当日の確認

移転当日は、設備を接続した後に各種動作確認を実施します。

  • インターネット接続
  • 社内ネットワーク
  • 無線LAN
  • 電話の発着信
  • 内線・保留・転送
  • サーバーやクラウドサービス
  • プリンター・複合機
  • 会議室設備
  • 防犯カメラ
  • 入退室管理
  • 電源や空調
  • バックアップ回線や障害対策

確認結果を記録し、不具合が発生した場合は、原因と復旧方法を整理します。

利用者が業務を開始する前に、主要な設備を確認しておくことが重要です。

運用・保守体制

オフィス設備は、構築後の運用と保守によって安定性が維持されます。機器の設定バックアップ、通信状況の監視、障害発生時の連絡体制、機器の更新計画などを整備します。

さらに、従業員の入社・異動・退職に伴うアカウントや入退室権限の変更、Wi-Fi情報の管理、機器追加時の申請ルールなども定めておくと、セキュリティと管理性を高められます。

まとめ

オフィスの新設・移転では、内装や家具だけでなく、ネットワーク、電話、電源、サーバー、セキュリティ、会議室設備、複合機などを総合的に構築する必要があります。

各設備を個別に導入するのではなく、オフィスレイアウトや業務内容、将来の増員計画に合わせて一体的に設計することが重要です。

事前の要件整理、詳細な設計、計画的な施工、移転後の動作確認、継続的な保守を行うことで、業務を止めることなく快適で安全なオフィス環境を実現できます。